5月2日(土) 亀田誠治を世に放った女王、椎名林檎


 本日最後の幕間映像、鶴田真由と西島秀俊のアクト、若木信吾の撮影によるスチール写真ストーリー「調教師」(もちろんこれも大宮エリー作の物語です)が流されました。幕間映像のラストにふさわしい「ありがとう」の総集編。平井堅の圧倒的なアクトと、その次に訪れる椎名林檎ライヴの合間にも関わらず、柔らかい表情で優しく頷きながらスクリーンを見詰めている人を多く見かける、このイベントの趣旨を映像にしたストーリーによって「亀の恩返し」はライヴのみならず、家まで持って帰れるメッセージになったことと思います。

 映像が終わりステージに目を映すと――そこには白衣を纏ったハウスバンドの姿が! ん? どこかで見たことあるなあと思ったアナタは生粋の林檎ファンでしょう。そうです、去年行われた椎名林檎の10周年記念博ライヴの時のユニフォームではありませんか!? そこでさらに気づいた方、そうです、今回のハウスバンドは亀田誠治と硬い絆で結ばれた人達ばかりです。ということは、すなわち椎名林檎さんとのコラボレートも多く、ギターの名越さんやドラムのカースケさんをはじめ、去年の林檎さんのライヴに参加したメンバーも多いのです。
 というわけで、白衣バンドが「茜色」の照明に照らされる中、妖艶なるオーラを纏い、しかしこれまた白衣を纏った椎名林檎がステージに登場した瞬間。客席からは巨大な息を呑む声と、大きな拍手が湧き上がりました。
 椎名林檎、降臨です。

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 馴染みのバンドと共に、いきなり“茜さす 帰路照らされど…”。僕の周りでも両手をぎゅっと握り締めながら、祈るように聴いているファンが多いライヴがはじまりました。
 お次は、古のスタンダードポップである“more”を打ち込みと同期させて、クールに、しかしフィジカルに演じていきます。
 さらにその後が、遂にきました、“ギブス”。亀田誠治にとってこの「究極の棺桶ソング(つまり、死んでも肌身から離したくないほど大好きな曲)」という選曲は、椎名林檎からの亀田さんへの最高の恩返しだったのだと思います。

 その“ギブス”の後奏が流れている時に、ステージに謎の影がすーっと広がり、凛とした姿勢で立ち尽くします。
 その男、白衣につき要注意――じゃなかった。よーく見ると、そこには白衣を纏い、サングラスをかけたワイルドかつインテリジェンスな佇まいの平井堅がいました。
 これは最高のメインディッシュでしょう! お次は平井堅が大好きだという“put your camera down〜閃光少女”が始まり、黄金デュエットがここに始まったのです。
 音楽家としての相思相愛が歌唱になった時、そこにメロディの花が咲き誇ります。お互いに自分のスタイルを放ちながら、認め合う者同士の視線だけが突き通す「あら、やるわね」な歌い合いが、プレシャスな瞬間を刻み続けます。
 こんなコラボレート、そんじょそこらじゃみれねーよ。最高に贅沢な「男と女の物語」がここに披露されたのです。

「本日は特別な一日になりました。私もとても多くの方と出会うことができて、楽しんでいます。残念ながら最後の一曲になってしまいましたが――(えぇぇぇぇぇx−−!という多数の声に)『笑っていいとも』みたいになってきましたが(笑)、最後まで楽しんでくださいませ」
 ――と放って最後に奏でられたのは、“丸の内サディスティック”。ピアニカ吹きながら、威風堂々の姿を見せつけ、合間に「師匠―♥!!」と華やかに甘え、そして右手を右に左に振りながら、フリフリアリーナを闊歩。そして野蛮にして美の究極を歌い込める椎名林檎。もう、言うことありません。
 あなたの存在が、最高の「生きていることへのビタミン」、つまり音楽の結晶でした。

 アルバムのレコーディングが佳境の中、師匠のために馳せ参じた歌姫、その想いは多くを語らずとも、フロアの客全員に伝わっていた。
 椎名林檎だけが知っている亀田誠治がいる。
 亀田誠治だけが知っている椎名林檎がいる。
 ため息が出るほど素敵な時だった。


@ 茜さす 帰路照らされど…
A more
B ギブス
C put your camera down~閃光少女
D 丸の内サディスティック

鹿野 淳(MUSICA
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